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男泣きの理由――森岡紘一朗「苦しい時期にも多くの方々の支えがあった」

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それはまさに“男泣き”だった。昨年10月25日、森岡紘一朗は全日本50㎞競歩高畠大会で陸連の定める派遣設定記録を突破。3時間44分27秒で初優勝、リオ五輪代表内定――。その時、森岡の目から涙がこぼれた。

いつも誠実で、受け答えも丁寧。日本記録保持者を多数揃える、同じ富士通競歩チームの仲間からも「外さない男」と呼ばれるほど、安定した実力者。ここ数年は、結果がうまく出ずに苦悩を抱えていたが、どれだけ成績が悪くても、インタビューに対しては実直に答えてくれる。その姿勢からは、彼のアスリートとしての成熟度が伺えた。

その森岡が、人目をはばからず泣いていたのだ。その涙の理由を聞くと、やはりまた彼は、実直に答えてくれる。

「まずは、自分自身が試合でやりきれたことに対して、今までの不甲斐なさからやっと脱出できたという感情がわきました。また、その苦しい時期にも本当に多くの方々の支えがあってここまでやってこれたので、今までの感謝の気持ちを思い出すことで、涙が出てきたのかなと思います」。

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後輩であり、20㎞競歩で世界記録を出した鈴木雄介は語る。「(世界記録達成は)先輩の森岡選手の存在が大きいですね。森岡さんの後を追って富士通に入り、追い越そうと頑張った活力が今回の記録につながりました」。森岡は、それだけの実力者だ。若手に先を越されて悔しくないはずがない。

「他の若い選手が世界で頑張っていて、一緒にいることが苦しい時期も正直ありましたが、やっとここで自分の存在感というものを示せたかなと思います。またリオ行きを決められて、しっかり先輩としての姿も見せられたのかなと思っています。

先輩が情けない姿を見せる訳にはいかないので、弱った姿を見せるのではなく、先輩はやはり先輩なんだという姿を見せられればと思います。そして一緒に切磋琢磨しながら、バチバチとしたライバル意識を持つというのではなく、それぞれのやり方でしっかり力を出していけるような、意識しながらも協力し合えるような関係を、今後も築けていけたらと思っております」。

その言葉からは、自分だけではなく後輩も、後輩だけではなく自分も、という彼の仲間思いの気持ちが滲み出ていた。

明後日2月21日 (日)には、神戸で20km競歩日本選手権が行われる。森岡にとっては、五輪に向けて今の自分の状態を試すことができる、大きなレースだ。

「国内のレース、また海外でのレースも全てリオに向けたステップ、取り組みとしてやっていきながら、メダルというものを大きな目標として取り組んでいけたらと思っています」

苦しい時期を経た森岡が、再度国際舞台で輝く日を、心待ちにしたい。

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clip★情報満載Twitter
clip富士通陸上競技部HP

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