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ベルリンへの道


ベルリンへの道

2009年8月 4日 (火)

【競歩】獅子奮迅の日本のエース-川崎 真裕美-

■川崎 真裕美[かわさき・まゆみ]プロフィール

昨年末の12月1日、富士通陸上競技部へ移籍した川崎選手。女子競歩トラックおよびロードにおける日本記録保持者の加入は、チーム全体にとっても大きな刺激となった。多くの国際大会を経験してきた彼女は、常に世界を戦いのステージとして見据えている。今回の世界選手権でも結果を残すことが「ノルマ」だと言い切ってくれた。そんな彼女に、大会へ向けての意気込みを語ってもらった。

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●―ここまでの状況と、これからの調整のテーマを教えてください
6月に5000m、10000m、20kmと3回の試合があったので、これまでの合宿はリコンディショニングの意味合いが強い内容でしたね。補強で体幹を整えたり、自分の動きを確認したりして、1週間のメニューをこなしました。今は志賀高原での強化合宿の中で距離を踏みながら、詰めていくという感じですね。

●―世界選手権出場へ向けて、意気込みをお聞かせください
出場はノルマだと捉えていたので、大会では最低でも世界の8番以内には入りたい、願わくはメダル争いをしたいと思っています。運次第であり得ると思うので、最後までトップについていきたいですね。3回目の出場なので、重みもすごくあります。
コーチからは『自分で気づかなければいけない』と常に言われているので、大会までにいろいろ見直していければと思います。コーチは精神的に押してくれたり、フォームや警告などに関して具体的に指導してくださったりするので、頼りにしています。試合中に「ここからだー!」とかコーチの声が聞こえると、思わず「はい」ってなりますからね。

●―多くの大会を経験してこられて、今大会にかける部分も大きいのではないでしょうか
私は、毎回「入賞する」と言いながら入賞したことがないので、三度目の正直で入賞を成し遂げたいなと思っています。メダルを獲るということは簡単なことではありませんが、諦めずに狙っていきたい。レース展開やメンバーによって戦い方を変えたりする必要はありますが、練習では自分のリズムで先頭についていくイメージを持ちながら行っています。

●―世界選手権に出場する上で、目標とする選手などいますか?
ドイツのジマー選手をはじめ、同じ集団で歩きたいなと思う選手はいます。世界選手権では、ある程度出場する選手の顔ぶれもわかっているので、今回はポジションも決めていこうと思っています。日本人選手の中では絶対トップに立ちたいですね。日本人選手に負けるようでは、世界の上位には入れないと思いますから。

●―最後に大会での目標をお聞かせください
今回は入賞が目標というよりノルマだと思っています。とにかく最後まで諦めずにいきます。

「取材・文/NANO Association」

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2009年8月 3日 (月)

【競歩】マイペースな慎重派 -大利 久美-

■大利 久美[おおとし・くみ] プロフィール

今大会が世界選手権初参加となる大利選手。20kmで出場する彼女にとって今大会は、世界大会の雰囲気を感じとり、自らのベストを尽くすことが最大のテーマとなる。「(富士通の)2人に引っ張ってもらえたから出場できたようなもの」と謙遜する彼女だが、実力は十分に世界でも通用するだけのものを持っている。そんな彼女に、大会へ向けての意気込みを語ってもらった。

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●―現在のトレーニング状況を教えてください
少し前まで軽い練習を続けていたので、先日行った志賀高原合宿は体づくりをベースとしたトレーニングになりました。次の合宿のための“準備の合宿”という感じでしたね。まだ50%くらいの調子ですが、順調にメニューはこなせたと思います。

●―世界選手権出場へ向けて、意気込みをお聞かせください
初めての出場なので100%、120%の力が出せるようにしっかり体調管理をするとか、不注意でアクシデントを起こさないようにするとか、大会に向けて心身ともに調整していくことが第一ですね。まだ、『出場する』という実感がないので、合宿に行って代表の選手たちと一緒に練習したりして、徐々に緊張していけたらなと思っています。
あと、私はメンタル面が課題だとよく言われるので、「これぐらいの力しかないから」と決めつけず、自分で可能性を高められるよう上を見据えていきたいです。

●―ご自身の中で課題はどういったところにあると思いますか?
私と今村コーチの間で、設定する目標タイムに差が出ることがよくあります。私はレース中に、「1000mをこのペースでいくなら、最初の200mはこれぐらいにして…」というように、ペース配分を考えてしまって、セーブをかける傾向があるんですよね。結果が出始めて少しずつ自信も持てるようになってきましたが、「もっと自信を持て」とコーチからはよく言われています。
自分で限界をつくってしまうのが私の悪い部分なので、壁を取っ払っていかないといけないと思っています。

●―世界選手権に出場する上で、目標とする選手などいますか?
他の選手を目標にするというよりも、まずはレースで自分の力を100%出しきることを一番に考えたいと思っています。

●―最後に大会での目標をお聞かせください
明確な順位の目標はありませんが、16位以内が評価されると言われているので、自己ベストの更新と16位以内を目指したいと思います。

「取材・文/NANO Association」

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2009年7月31日 (金)

【競歩】日本一外さない冷静沈着な男 -森岡 紘一朗

■森岡 紘一朗[もりおか・こういちろう] プロフィール

24歳と若い森岡選手だが、世界選手権出場はベルリンで3回目。これまでは学生として参加しており、社会人になってからは初の出場となる。今大会では、20km(8月15日)と50km(8月21日)の2種目にエントリー。期間中は調子を維持しながら、50kmのレースまでに、いかに疲労を取り除いていけるかがひとつの鍵となるだろう。そんな彼に、大会へ向けての意気込みを語ってもらった。

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●―合宿を終えて、状態はいかがでしょうか?
志賀高原での合宿では、しっかり距離を踏んで体をつくることに重点を置いていました。状態はまだ50~60%くらいですが、問題なく練習を消化できています。今後の合宿で、一気に調子を上げていきたいですね。

●―世界選手権出場へ向けて、意気込みをお聞かせください。
世界選手権は今大会が3回目になりますが、2種目出場(20kmと50km)は初めてなので、新しいことに挑戦する気持ちで臨みたいと思います。レースをどう繋ぐかがテーマになりますが、過去2回の世界選手権ではユニバーシアードとの短い期間で2レースをこなしていたので、その経験は生かせると思います。
2種目で出場した経験がないので、どう調整すればいいのか僕自身もまだハッキリとはわかっていません。ただ、コーチが経験豊富なので指示に従い、その上で自分の考えも取り込んでいければ、いい結果が出るのかなと思っています。地力の向上が重要になってきますね。

●―大会に向けてのご自身の中でテーマなどはありますか?
世界から見ると持ちタイムで劣る部分はありますが、昨年の北京五輪や前回の大阪世界選手権でも、入賞を狙える位置にはつけていました。ただ、結果的に力が及ばなかった。その差はどこにあるのか考えながら練習しているのですが、答えはまだ見つかっていません。世界陸上までの残りの期間でしっかりと答えを見つけて、レースに挑みたいですね。

●―世界選手権でライバルとなりそうな選手はいますか?
19歳の頃のアジアジュニアからずっと一緒に国際大会に出ている、韓国のキム選手ですね。同い年で、いつも同じような位置にいて、成績も五分五分くらい。常に競い合っている関係なので今回は勝ちたいです。

●―最後に大会での目標をお聞かせください。
50kmでは現状の力を出し切り、20kmでは世界のトップ集団について行きながらも、しっかり日本人トップを獲りたい。過去2回の世界選手権は、学生として大会に出ていたので、今回、富士通陸上競技部として成長した自分を見せたいと思います。

「取材・文/NANO Association」

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2009年7月24日 (金)

【競歩】世界へ向けて、それぞれの一歩 vol.2

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●―みなさん、仲良しでいらっしゃいますよね。

川﨑:すごく仲はいいですよ。3人でご飯を食べたりもします。中長距離の選手達と寮が同じですし、世界大会では一般種目のメンバーも一緒なので、富士通チーム内での交流もあります。

●―富士通の選手からは、「チーム内の雰囲気がいい」とよくお聞きするんですが、競歩の中でもそれは感じますか?

大利:私は今回の世界選手権が初出場になるんですが、2人(川﨑・森岡)は五輪や世界選手権に出場しているので、引っ張ってもらっている感じですね。今回も2人が「一緒に(世界選手権に)出よう」と励ましてくれたから、出られたようなものです。

川﨑:私は12月に移籍してきたばかりですが、“本人を尊重する会社”だなと感じますね。富士通では日本代表になってからが勝負であり、自分の仕事だというような雰囲気があります。よりプロフェッショナルであることが求められるし、期待度は大きいと思います。

森岡:僕は常々、世界の高いレベルに身を置いて戦いたいと考えていたので、他競技の選手の活躍も刺激になります。自分も「このままじゃいけない」と思いますし、上を目指せる環境にいると思います。

川﨑:実際に言葉にしなくても、「いくぞ」という感じはありますよね。やっぱり、メンバーの結果は良い方がいいですから。大利さんの試合の応援にも行ったんですけど、自分の試合のように興奮しました。

Img_9311_2大利:川﨑さんの激しい応援、聞こえてましたよ(笑)。

川﨑:ラストスパートは沿道で一緒に走りましたから(笑)。

大利:そういのも心強いですね。森岡君も普段はクールなんですけど、試合前には見送りに来てくれたりするので、嬉しいです。

言葉じゃなくても態度で伝わるものがあるので、2人にはすごくパワーをもらっています。


―――――異次元の『歩き』を見てほしい

●―競歩は一般的にそれほど馴染みのある種目ではないと思うのですが、「競歩はこんな魅力があるから見てほしい」というのはありますか?

川﨑:いつもお話させてもらうのは、ジャッジのある競技だからゴールした後でも順位が変わることがあるという点です。上位の選手が失格になれば、メダルが繰り上がりますし、失格になってしまうこともある。最後の最後まで結末がわからないのは、魅力のひとつですね。あと、女子の選手はスタイルもいいですよ(笑)。

森岡:そうですね。一般の人にとっては『競歩=歩く』というイメージだと思うんですけど、「歩く」という言葉からは想像もできないようなスピードで歩いているんですよ。1キロだけなら3分30秒くらい。20キロのラップも4分前後ですから、マラソンに置き換えても、市民ランナーの中では本当にトップクラスに入ると思います。その異次元のスピードでの「歩き」を見てもらいたいです。

大利:きれいなフォーム、すごいスピードとか…全部言われちゃいましたね(笑)。

「取材・文/NANO Association」

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2009年7月22日 (水)

【競歩】世界へ向けて、それぞれの一歩 vol.1

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8月15日にベルリンで開幕する第12回世界陸上競技選手権大会に向けて、富士通からは男女合計8名が日本代表選手として選ばれました。競歩に出場することになった3選手、森岡紘一朗選手、川﨑真裕美選手、大利久美選手に競技の魅力や、チーム内の雰囲気について語っていただきました。

「センスあるよ」と乗せられて
●―まずは、みなさんが競歩を始められたキッカケからお伺いしてもよろしいでしょうか? 

川﨑:私は高校2年生の時に、競歩の指導経験がある先生から「走っている時に上下動が少ないから素質がある。競歩を始めたらすぐ国体に行けるぞ」と勧められたのが最初でした。やっぱり全国大会は夢でしたし、始めて3ヶ月くらいで国体に出られたので、のめり込んでいきました。

森岡:僕はもともと長距離をやっていたのですが、高校入学後はケガが多く伸び悩んでいたんです。それで、先輩の中に競歩で活躍されている方がいたので、一時期悩んだのですが転向を決めました。自分から決意したというのは、比較的に稀な例かもしれません。

Img_9474_4大利:私は競歩をやっていた先輩のすごくきれいな歩き方を、真似していたのが始まりでした。私が一番似ていたので、みんなに「センスあるよ」と乗せられました(笑)。高校生の頃はランニングと競歩の両方をやっていたんですが、大学に入ってから絞ったんです。走るのが遅かったので、競歩しかやっていけなかったんですけど(笑)。

●―そんな競歩の魅力とは、どんなところでしょうか

川﨑:歩くフォームに規定があって、それを守りながら練習していくと、最初はタイムが出ないんですよね。でも、頑張るほどいいタイムが出てくるのが、私はすごく楽しかったです。

森岡:僕も最初は、日に日に力がついていると感じられることがモチベーションになりましたね。自己記録を出すのが、競技をやっていて一番嬉しいですからね。タイムが縮まっていくと、やっていてよかったなと思います。

大利:高校の頃も競歩で県大会や関東大会に出場できたので、結果が出ると自信もつくし、好きになりますよね。

レース展開は三人三様

●―レース中は、判定をめぐる駆け引きも出てきますよね。

川﨑:あります、あります。一緒に歩いている選手のジャッジを見て、相手が警告2だったら思いきってスパートをかけたりとか。相手はあと1回で失格ですからね。トラックレースの場合、ジャッジのボードがゴール付近にあって、ナンバーカードと警告の回数が書かれているので、それを見ながら気持ちを盛り上げたりもします。

森岡:僕は集団の中で人数が削られるのを待つスタイルなので、レース中は周りの選手の警告を気にしながら歩いていますね。ただ、ムダなことを考えていると、僕が先に落ちちゃうので、最近は必死についていくことだけを考えるようにしています。

大利:私は練習でも試合でも、ずっと自分のタイムを考えていますね。もちろん流れもあるんですが、細かく時計を見てペース配分に注意しています。時計を見ないと気付かないうちにペースが落ちていたりするので、目標タイムに近づけることを考えていますね。

Img_9471_2 ●―長いレースになりますから、選手の性格も反映されやすい競技ですよね。みなさん、ご自身はどういうタイプだと分析していらっしゃいますか?

川﨑:自分は猪突猛進タイプです。競歩で日本の女子はまだ入賞したことがないですから、セーブしてちゃいけないと思うんですよ。そういうことは、メダルを獲れるレベルになってからじゃないかって。でも、気持ちだけで押すところがあるので、今村コーチにも「もっと賢くいかなきゃダメだよ」とよく注意されます。

大利:でも、それは勝てるレベルにあるから、本能で押していけるんじゃないですか。

川﨑:確かに、勝てなかったらしないかな(笑)。

大利:私はまだそういうレベルではないので、あまり突っ込みすぎずに100%を出し切るため、自分のペースでいくことが最善の記録の出し方だと思っています。冷静っていうより、慎重派かな。

川﨑:森岡君は冷静沈着タイプですね。狙った大会は外さない、「日本一外さない男」ですから(笑)

森岡:冒険せずに、無難に収めているだけですけどね。それが壁を破れない原因だとも言われますが(笑)。だから、ガッツで押す川﨑さんを見ていると、僕に足りないものを持っているなと感じます。

―――――vol.2へ続く

「取材・文/NANO Association」

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